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相続争いの“予防策”としての家史調査

2025年11月17日

相続トラブルの相談を受けていると、表面上は財産の分け方が争点に見えても、根本にあるのはまったく別のテーマであることが多くあります。その最たるものが 「家族間のコミュニケーション不足」 です。

普段あまり話をしないまま、家族の歴史や親族関係、過去の出来事について共有されないまま相続を迎える——。この “情報の空白” が、誤解や不信感として膨らみ、争続へとつながっていきます。

この問題を事前に解消するために有効なのが、家史調査(かしちょうさ) です。家族の歴史を調査するそのプロセスそのものが、家族の対話を生み、相続リスクを大きく減らす効果があります。

相続争いの原因は「話していないこと」にある

相続で揉める家庭の多くで見られるのは、次のような状況です。

  • 親の考えを家族が知らない
  • 兄弟姉妹で “記憶している家族史” が違う
  • 親族や先祖の話題を避けてきたため情報が共有されていない
  • 家族の歴史について語る機会がないまま世代が進んだ

このように、家族の歴史を語る場がないこと が対立の根本原因になるケースは非常に多いものです。逆に言えば、家族の話題として家史を共有するだけで、相続に伴う不信感や誤解は驚くほど減っていきます。

家史調査は、家族の対話を自然に生み出す

家史調査とは、家族の歴史を以下のような形で “見える化” する作業です。

  • 戸籍の流れを調査する
  • 祖父母・曾祖父母の生い立ちを知る
  • 本籍地や移住の経緯をたどる
  • 本家・分家の関係を把握する
  • 過去の出来事を年代順にまとめる

家史調査が生む対話の効果

  • 家族の話題が自然に増える
  • 兄弟姉妹で “家族の記憶” を共有できる
  • 先祖の話を軸に、落ち着いた会話ができる
  • 相続の話し合いが“対決”ではなく “共同作業” に変わる
  • 家族の関係が柔らかくなり、話し合いがしやすくなる

相続の話は感情的になりやすいですが、家史の話は “家族の物語” なので比較的穏やかに会話が進みやすいという利点があります。

家史調査で生まれる「初めて知る話」が対話のきっかけに

家史調査を進めていると、家族が知らなかった事実が出てくることがあります。

  • 祖父母が若い頃に経験した出来事
  • 戦後の移住や転居の理由
  • 親族との交流が途絶えた背景
  • 昔の家業や地域での役割

こうした情報が明らかになると、

「そういえばおばあちゃん、同じこと言っていたね」
「この話、家族でちゃんと話したことがなかった」

と、家族内で新たな対話が生まれます。これこそが争続を防ぐ最も大きな効果です。

北海道では、家史調査がさらに重要になる理由

  • 北海道外からの移住ルーツが多い
  • 親族が全国に散らばり、会話の機会が少ない
  • 明治期の戸籍が欠落している場合がある
  • 150年保存の戸籍が消えつつある

特に “移住型の家族史” は情報が断片化されやすく、話題にするタイミングが極端に少ないのが特徴です。だからこそ、家族で対話するきっかけを今つくっておくこと が重要です。

まとめ:家史調査は“対話の装置”。争続を防ぐ最も穏やかな方法

相続の問題は、財産よりも、家族がこれまで「話してこなかったこと」 に根があります。家史調査には、家族が自然と会話し、互いの理解が深まる仕組みがあります。

  • 相続の話がしやすくなる
  • 家族の気持ちが調査される
  • 誤解や不信感が消える
  • 生活の延長で相続準備ができる

争続を防ぐためにも、そして家族の物語を未来につなぐためにも、家史調査を取り入れてみることをおすすめします。

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